「僕らはよそ者だ。外から来て新しい新浜をつくるんだ」と川俣さんが語ったことがあります。復旧・復興というと以前の暮らしの状態に「戻す」ことを発想・計画しがちですが、川俣さんは「つくる」と言われました。もちろん、忘れないこと、悲劇を繰り返さないことは大切ですが、それだけでは前に進まないということを川俣さんと作業を共にするなかで、強く意識するようになりました。東北で建築を学ぶ学生として震災にどのように関われるかと悩んでいた僕にとって、大きな道筋となったと感じています。
川俣さんの新浜のプロジェクトでは、フランスや日本各地から集まったスタッフで作業を行います。言葉も背景も違う人と作業を共にすることに最初は緊張しましたが、いざ始まってみると、各々が自分で考え役回りをうまく分担しながら作業を進めていく自由な雰囲気でとても楽しかったです。地域の方も畑で採れた野菜を差し入れてくださるなど、本当に親切にしてくださいました。川俣さんの作品でありながら、いろんな人の思いや手が入っているのが、すごく面白いですね。
『季刊「まちりょく vol.36」』(公益財団法人仙台市市民文化事業団、2019)より転載